曽爾村で農業を始める人が
ずっと農家として生きていけるように
曽爾村が取り組む農業振興の一環として、農林業公社は農地の保全とともに農産物の販路の開拓をミッションとしています。
曽爾村の生産物の流通には大きく2つのアプローチが挙げられます。1つは、トマト部会やほうれん草部会といったJA生産者部会から中央卸市場、仲卸を経てスーパーなどへ流通する従来型のルートです。単一品目で栽培を行う生産者にとっての大きな受け皿であり、産地のブランドを形成する重要なルートですが、取り扱い品目は限られており、規格に沿った品質が求められます。
もう1つは、そこに含まれない少量多品目栽培や有機栽培などの作物を販売する場合です。これらの作物の生産者には、もともと村内で有機栽培を行ってきた人や、規格対象外の多様な作物を栽培したい人、村に移住し有機栽培農家を志す新規就農した人たちが含まれます。
JAではこれらの作物を扱うことが難しいため、農林業公社ではこの新しい動きに対しても販路開拓の支援に取り組み始めました。2024年には、多様な生産者が集まった組合「曽爾Food~風土~」が立ち上がり、販売面での連携をはじめています。
二人の農家の思いがつながり
新しい受け皿の確立へ
山下竜一郎さんは元料理人でしたが、肌が弱く体調面の問題から、より健康的な暮らしを求めて曽爾に移住しました。
そんな二人は、もともと同じ集荷場へ車で個別に出荷しに出かけており、「時間も燃料代もそれぞれにかかっているのを一本化できたら」と考えるようになりました。そこで、「曽爾Food~風土~」というグループを設立し、農林業公社の協力を受けて共同配送する取り組みが始まりました。
始まった共同配送と
切磋琢磨できるコミュニティー
新規就農した農家は、個々に販路を開拓し、配送しなくてはなりません。しかし、栽培スキルを向上させながら同時に販路を開拓し、物流の仕組みを整えていくことは、新規就農者にとって大きな課題であり、作業効率と損益がかみ合わず、継続を断念することもあります。そんな新規就農者も曽爾Food~風土~のメンバーと販路を共有することで、売り先を見つける道につながり、配送にとられていた時間のぶんだけ栽培に専念しやすくなります。二人の思いから立ち上がったグループは、現在では15名のメンバーが参加しています。メンバーは有機農家とは限らず、有機栽培を強制もしないとのこと。
農林業公社では、曽爾Food~風土~のメンバーから出荷された農産物を仕入れ、流通機関につないで販路を作ったり、共同出荷する野菜を流通業者が定める集荷ポイントまで配送するなどの支援をしています。小さな営みから始まる新規就農者にとって、共同配送は心強い仕組みです。
「一人でやるよりはみんなでやったほうがいい面がある」と平畠さん。コストカットだけでなく、定期的に話し合いの場を持ち、メンバーどうしが腹をわって話せる関係性を築くことで、ともすれば孤独になりがちな個人農家の不安や課題を共有し解決につなげるコミュニティーを目指しています。
農業を楽しみ、楽しんだ分
返ってくる仕組みづくりへ
曽爾Food~風土~の平畠さんたちは、「楽しくやりたい」と言います。それは、農業経営における経験や工夫を共有しながら切磋琢磨できる仲間がいることを意味しますが、何より収益を生み農業を続けられることが大前提です。
それぞれの思いや願いが動き出し、少しずつ自分たちが思い描く未来へ動き始めた曽爾村の農業界。目指すは、「楽しく挑戦できて、挑戦したぶんだけ稼げる」農業。イベント「そにふぅどまぁ~けっと」の開催や、村の学校給食への提供なども進んでいます。どうせやるなら楽しく、自分を表現しながら喜ばれることを。そういった思いで今後も、さらにいろいろな挑戦を行なっていく予定です。