この景色を守りたい
曽爾村の農の未来をつなぐ取り組み
曽爾村は、屏風岩、鎧岳、兜岳等のユニークな形をした岩壁で知られる山々に囲まれながらも、その谷間に開けた盆地であり、空は広く、平野部には農地が広がる米作りが盛んな地域です。昔から春から秋にかけての米作りを主体に、冬の林業を組み合わせた農林業が行われてきました。
しかし、農林業が元気を失うにつれ村を離れる人も増え、今は人口の半分が65歳以上に。村人たちには、自分たちを育ててくれた曽爾村の農地を荒らしてしまうのではなく、未来へ継承したいという願いがあります。そんな願いを受けて、農林業公社は農地保全のための取り組みを行っています。
耕作放棄地になる前に
受け継いだ土地を次の世代へ
「今はできるけど、いつかはできなくなる時が来る。農林業公社の役割は重要だと思う」と、現在70代の大向實さんは田植えの始まった田んぼを見ながら語ります。目の前には、将来も村に帰ることはないという人が持っていた田んぼがありました。その田んぼは今は、農林業公社が管理を代行しています。
高齢により親戚や知人に任せたいと頼む人が増え、頼まれた分だけ広がった田んぼを管理する人もまた、いつか高齢に。 米とほうれん草を栽培する農家である大向さんも、田植えや稲刈りの作業を農林業公社に委託しています。「日本で最も美しい村」連合に登録されている美しい景観を次の世代にいかに繋いでいくか。それが、大向さんたち村人の思いです。
米作りを代行、新規就農する人が
現れたらバトンを渡す
近年村で増えつつある若い世代の移住者たちの中には、農業を生業にしていきたい方、また別の仕事をしながら農作物を作れる技を磨きたい方も少なくありません。農林業公社では、そんな人たちに自社圃場で研修を受けてもらい、農業機械を操作できるオペレーターとして登録するしくみを作りました。 公社が農地を預かり、依頼を受けたオペレーターは預かった田んぼの田植え、草刈り、稲刈りなどを担うことで農地保全に貢献し、副業にもできるというものです。
大切なことは、農林業公社による農地の管理代行に終わらず、オペレーター自身が米づくりを行えるようになったり、野菜栽培などの新規就農者がこの農地を引き継いで営農するなどのようにバトンを渡していくことです。
農の営みを継承する
セーフティーネットの役割を